最近、サウナの話をしなくなった。
行っていないわけじゃない。
入っていないわけでもない。
でも、誰かに話すことが減った。
前は、つい口にしていた。
あそこの水風呂が良かった。
今日のロウリュは熱かった。
あの外気浴は最高だった。
感想を持ち帰って、
誰かに渡したくなっていた。
今は、持ち帰らない日が増えた。
良かったな、と思っても
そのまま置いてくる。
帰り道にはもう、
別のことを考えている。
話さなくなったからといって、
冷めたわけじゃない。
むしろ逆で、
自分の中に残しておけるようになった。
前は、
ととのいを共有したくて、
少し急いでいたのかもしれない。
うまく言葉にしなきゃ、とか。
ちゃんと伝えなきゃ、とか。
今は、その焦りがない。
サウナは、
説明しなくてもいいものになった。
良かった日も、
何も起きなかった日も、
どちらも同じくらい静かに終わる。
誰にも話さなかった日ほど、
自分の中にちゃんと残っている気がする。
サウナの話をしなくなったのは、
熱が下がったからじゃない。
たぶん、
生活の一部になったからだ。
話題にしなくてもいい。
でも、なくならない。
それくらいの距離が、
今はちょうどいい。


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